ショパン 前奏曲 作品28-7
リポジトリの説明はこちら。 最初に生成譜を 表示させながら,読むと分かりやすいかも.
1.1 ピアノ譜の準備
まずは,マニュアルのAppendix Dにある,ピアノソロ用の テンプレートをコピペして,編集します (ここでは"\"と書いていますが,日本語のキーボードでは"¥"に置き換えてください).
% ではじまると,それ以降はコメントとみなされます.
\include "deutcsh.ly" % ドイツ表記するときのヘッダファイル
upper = \relative e' { % e' から相対的に音符を並べます
\time 3/4 % 3/4 拍子
\key a \major % ここは, A-dur とは書けないらしい
{ e } % 四分音符で e' を表示
}
lower = \relative e, {
\clef bass
\key a \major
{ r} % 四分休符
}
\score {
\new PianoStaff << % ピアノ譜
\new Staff = "upper" \upper % 右手
\new Staff = "lower" \lower % 左手
>>
\midi {}
\layout {}
}
これを!LilyPondにかけると,こんな感じ.
1.2 アウフタクトの指定
この曲は,不完全な小節から始まるので,その指定をします.
\partial 4 % 四分音符ひとつ分
もしも,十六分音符ひとつと四分音符ひとつ分にしたい場合は, "\partial 16*5" とします."\partial 16 + 4" とはできないようです. これは,upper だけに書いておけばよいみたいです.
1.3 相対音程指定
\relative を指定したので,常に前の音符との相対距離で記述していきます. 相対距離表現を使うと,"'" や "," を沢山つけなくてもよくなるので, 便利です.
\relative の引数に e' と書いたので,
e
と書くと,
e'
と書くと
になります.","は,"'"とは逆にオクターブ下を指定したことになります.
1.4 一拍目(右手)
1.3 を踏まえて,
cis'8. d16
- 最初のcisは,前の音程(e)に一番近い(三度下の)cisではないので, "'"をつける必要があります.
- このcisは付点八分音符なので,8に続けて.(ピリオド)を書き加えます.
- 次のdは前の音に一番近いdなので,"'"も","も不要です.
- 十六分音符なので16を書き加えます.
こんな感じ.
1.5 一拍目(左手)
左手のアウフタクトは四分休符なので,"r4" ですが,
最初に単に"r"と書くと四分休符になるので,4は書かなくても同じです.
(ウソでした...orz.理由は後で)
次の"e"ですが,左手は,\relative の引数として"e,"を与えているので ","は必要ありません.また直前の休符が四分休符だったので,"4"は省略できます.
r | e
左手はこんな感じです.
1.6 二,三拍目
さて,和音の登場です.和音は "<" と ">"でくくります. 順番はどうでもいい? 僕は「下から上」派です. まず,右手は,
<d, gis h>4 <d gis h>
そして,左手は
<e' e'> <e e'>
和音の場合は,最初の音符が次の基準音(っていうのかな?)に なるので,2番目のdには,"'"も","もついていません. また,音符の長さが前の音符と同じ場合は, 長さをあらわす数字の省略が可能です.
なを,左手は同じ和音が続いているので,
\repeat unfold 2 { <e' e'> }
とも書けるのですが,2回くらいでは,かえって面倒です.というわけで,こんな感じ.
upper = \relative e' {
\time 3/4
\key a \major
\partial 4
e4 | cis'8. d16 <d, gis h>4 <d gis h>
}
lower = \relative e, {
\clef bass
\key a \major
{ r | e <e' e'> <e e'>}
}
\score {
\new PianoStaff <<
\new Staff = "upper" \upper
\new Staff = "lower" \lower
>>
\midi {}
\layout {}
}
1.7 スラー
スラーを描いてみます. スラーには普通の「スラー(レガート・スラーというらしい)」と「フレイジング・スラー」が あるみたいです.まず,普通のスラーは"("と")"を用いて,
e4( | cis'8. d16 h4 h | h2)
開き括弧の位置が"e4"の前ではなく後に書くのが,直感とは違う感覚ですが, "修飾する記号は常に後ろに書く"と考えることにします.
フレイジング・スラーは"\(" と "\)"をつかうと
e4\( | cis'8. d16 h4 h | h2\)
見た目は一緒なので,譜面は省略します.二つのスラーは同時に使用することが 可能ですが,同じ種類のスラーを入れ子にすることはできないそうです. ま,普通はフレイジング・スラーの中に一組以上のレガート・スラーが 入るというパターンが多いと思います.
1.7.1 おまけ
ところで,上の例では "h2"で終わっています. しかし,左手の最初の4分休符には長さを指定していませんでした.
ところがどうやら音符(休符)の長さは,中括弧"{}"を超えられるようで, 左手の休符が,右手の最後の"h2"を受けて,二分休符になってしまいました.
というわけで,例え左手の最初の音符(休符)が四分音符から始まっても, "4"は省略してはいけないと言うことのようです.
1.8 異なる声部間のタイ
4小節目までは,今までの知識だけで書くことができました. しかし5小節目でムムム...
タイ自体は,とても簡単です.こんな風に
d4~ d2
チルダ(~)をタイでつなげる音符につければOK. しかし,和音がからんでくるとちょっと面倒です. まず,二拍目に四分音符と二分音符が混じった和音が 出てきます
まず,白黒混合和音(?)はつくれるのか?
<d2 fis4 d'>
うーむ,エラーになってしまう. "<"と">"の間では,個別の長さを与えられないようです.
1.8.1 同一五線譜内の複声部
そこで,発想を変えて,声部を分ける方法がないかマニュアルを読むと, どうやら,こんな風に書くようです.
<<
{ 声部1 } \\
{ 声部2 } \\
.
.
{ 声部n }
>>
というわけで,まずはタイ抜きで.このとき,スラーをまたがらないように, アウフタクトから声部を分けるようにします.
<<
{ <e cis'>4\( | s4 <fis d'> <fis d'> | <fis d'>2 \) } \\
{ s4 | <cis ais>8. <d h'>16 d2 | d2 }
>>
ここで "s" が出てきました.これは"skip"の"s" の意味で, 不可視な休符です.複声部を扱うときには便利です.
しかしこれだと,符尾が変.いかにも複声部っぽくなってしまいました.
1.8.3 符尾の変更
そこで,符尾を上に上げるように,\stemUp を指定してあげます (逆に下げたい場合は \stemDown を指定します). また,省略時の指定に戻したいところで \stemNeutral を指定します.
<<
{ <e cis'>4\( | s4 <fis d'> <fis d'> | <fis d'>2 \) } \\
{ s4 | \stemUp <cis ais>8. <d h'>16~ d2~ | d2 }
>>
これで,形になりました.
但し,こうすると二拍目と,次の小節の1小節目で,二つの声部の符尾が 同じ方向で重なる為に,警告が出てしまいます.これを回避する方法は 今のところ見つけていません.ま,いっか.
1.9 装飾音符
これまででてきた文法で,ほぼ最後まで作成することができます. あとひとつ覚えなければならないのは,15小節目にでてくる装飾音符 (アチャカトゥーラ)ですが,これはそのものズバリ,\acciaccatura を 指定することで,実現できます.
いちおう最後の小節まで作成できました.これが 最初の版です. また,生成されたpdfを添付します.
1.10 チェック用の命令文
なを,コードの中には,ところどころ
\barNumberCheck #5
といった文が挿入されていますが,これを入れておくと もし#番号が,小節番号とずれていると警告してくれるので便利です. 大きな曲になると,今どの当たりを編集しているのか迷子になって しまうことがあるので,フレーズの区切りなどに挿入しておくといいかも知れません.
仕上げは,また次の機会で.
1.11 ペダル記号の追加
というわけで3年も経ってしまいまいました。 さて、
ペダル記号は、Onの場合は、
\sustainOn
Offの場合は
\sustainOff
を該当音符の後につければOkです。
1.12 アルペジオ
アルペジオの場合は、和音の後に
\arrpegio
をつけます。今回のように、右手と左手を通して書きたい場合は、 その前のどこかで、
\set PianoStaff.connectArpeggios = ##t
と書いておきます。この指定は、これから先 ずっと有効になるので、戻したいときは、
\set PianoStaff.connectArpeggios = ##f
と指定しなおします。
Attachments
-
frag000.png
(1.6 KB) -
added by tory 4 years ago.
-
frag001.png
(1.5 KB) -
added by tory 4 years ago.
-
frag002.png
(2.1 KB) -
added by tory 4 years ago.
-
frag003.png
(1.5 KB) -
added by tory 4 years ago.
-
frag004.png
(3.2 KB) -
added by tory 4 years ago.
-
frag005.png
(2.0 KB) -
added by tory 4 years ago.
-
frag006.png
(4.5 KB) -
added by tory 4 years ago.
-
frag007.png
(4.6 KB) -
added by tory 4 years ago.
-
primer001.png
(3.1 KB) -
added by tory 4 years ago.
-
primer002.png
(5.2 KB) -
added by tory 4 years ago.
-
chopin_op28_7.pdf
(98.5 KB) -
added by tory 9 months ago.
-
chopin_op28_7.png
(52.7 KB) -
added by tory 9 months ago.










